微生物/EM

“光合成細菌の光合成”の巻

光合成細菌の光合成は植物のとちょっと違う

 植物は太陽のエネルギーを利用して水(H2O)を水素(H2)と酸素(O)に分離します。水素は、炭酸ガスを還元して糖の合成に使われ、酸素は空中に放出されます(完全光合成)※1。植物の光合成によって生成される有機物は、地球上のあらゆる生物のエネルギー源として使われて循環しています。  一方、光合成細菌は太陽のエネルギーを利用して、光合成を行う際に必要な水素(H2)を、硫化水素(H2S)※2、メタン(CH4)、アンモニア(NH3)などの還元物質から切り離して利用しています。そして、その生成物の一部を自分たちが動くためのエネルギー源にすると同時に、炭水化物、アミノ酸、タンパク質、抗酸化物質などの多様な物質も作り出しています。  また、植物の光合成は太陽の全体のエネルギーから換算すると10%以下※3しか利用できませんが、光合成細菌は植物が利用できない紫外線やマイクロ波など、あらゆるエネルギーを利用する事ができます(太陽エネルギー全体の90%以上)。放射線などのエネルギーも利用する事ができるため、福島県でも様々な用途で使用されています。

※1 植物と光合成細菌の光合成: 植物と光合成細菌の光合成:植物は光合成に必要な水素を水から得て、酸素を発生させますが、そのような光合成は「完全光合成」と称されています。それに対し、光合成細菌による光合成は、必要な水素を水ではない還元物質から得るので、酸素を発生させず、「不完全光合成」と言われています。 ※2 硫化水素: 腐った卵に似た特徴的な強い刺激臭があり、目、皮膚、粘膜を刺激する、人間にとって有毒な気体です。 ※3 植物の光合成: 植物は、700~800オングストローム(可視光線の領域)の光しか利用できません。

光合成細菌が増えれば、水も土もよみがえる

 光合成細菌による分泌物によって、植物プランクトンや藻類などが増え、藻類の持つ浄化力でさらに水がキレイになっていきます。さらに、光合成には水素が必要ですが、光合成細菌はその水素を得るためにも、水中の硫化水素やメタン、アンモニアなどを分解して利用します。また、光合成細菌の生成物によって土壌や水中の抗酸化力が高まり、腐敗性の微生物の働きを抑えますが、同時に合成系の微生物(アゾトバクターやリン溶解菌、シアノバクテリア、コケなど)の活動を活発にします。水環境では、そうなることで植物性・動物性プランクトンが増え、さらに、それをエサとする小魚が増え、生態系ピラミッドが成り立ちます。  しかしながら、自然界では、光合成細菌は腐敗菌と共生する事が多いため、その力をほとんど発揮できない状況にあります。前号でもお伝えした通り、EMは、光合成細菌が安定してパワーを発揮できるようにするため、腐敗菌に代わって乳酸菌と酵母との共生関係が成立しています。そのカギは、腐敗菌が増えることができないpH3.5以下の複合培養方式となっていることです。