EMと共に生きる人々(WE USE EM)

長崎県内でつながり高め合う、地域ボランティアの仲間

長崎県では、ゴミゼロながさき実践計画と呼ばれる取り組みを行っています。県民や行政がそれぞれ協力し合ってごみの減量化やリサイクルに取り組んでおり、その一つとして県の生ごみ減量化パートナーシップ推進事業(H16年度~H17年度)の実践研修に参加した地域リーダーが集まって「生ごみ減量化リーダーネットワークながさき」という会をつくって活動しています。
 
このネットワークのメンバーは、長崎県からの依頼を受けて、幼稚園や小学校に出向き、子どもたちに生ごみのリサイクルの授業を行っています。
EMボカシと生ごみを混ぜて、畑の土の中で生ごみを発酵させ肥料にします。生ごみが発酵分解されるときに、白い菌糸が現れます。そんな変化の様子を観察しながら、子どもたちは目に見えないちいさな微生物を知り、野菜を育てます。そして、収穫体験や食事会を通して、食べ物の大切さや土と野菜の循環を学んでいきます。

西海市の「環境美化を考える会」会長の田口昭子さんや、島原市の「有明ボカシの会」会長の荒木光義さん、時津町の婦人会の会長の坂本恵美子さんは、生ごみ減量化リーダーネットワークながさきのメンバー。県内各地でEMを活用して同じ目的のために活動している仲間が集まり、お互いにもっと情報交流を図りながら技術も高め合っていこうと、昨年「長崎県環境活動推進協議会」を立ち上げました。
長崎県環境活動推進協議会のみなさん。
左から、荒木光義さん(島原市)、坂本恵美子さん(時津町)、田口昭子さん(西海市)、
吉田俊道さん(佐世保市)、谷口雅樹さん(西海市)
長崎県で「生ごみリサイクル」と言ったら、「生ごみ先生」で知られる吉田俊道さんのことを知らない人はいないでしょう。佐世保市を拠点に全国的に活躍されている、「NPO大地といのちの会」理事長の吉田俊道さんは、土の中の微生物をはじめとした生き物を増やし、生態系を豊かにすることで、生命力の強い野菜(元気やさい)を育てることや食べることの大切さを20年近く伝えています。

吉田さんは有機農家として、これまでさまざまな農法を試してきましたが、今年から本格的にEM活用をスタートしました。きっかけは、「長崎県環境活動推進協議会」メンバーの荒木光義さんと事務局を務める上村誠さんのお二人の来訪でした。
吉田さん:
今までEMも使ったけど、生ごみが上手く発酵しなくて腐ってしまうことがあって、農業経営のほうで大規模にはできなかったんですよ。それが、今年から、「ここの畑はEMを使う」って場所を決めて本気でやり始めたら、すごく結果が良い!!生ごみが腐らないように完璧に発酵させることができるようになったから。今までが発酵度70%くらいだったとしたら、今は99.9%だね。完璧に発酵させて生ごみを「漬物」にしてる。だから食べると美味しいですよ。
それから技術も大事だけど、作り手の私たちの想いもすごく影響しているね。
荒木光義さん(有明ボカシの会)
吉田さんは、この荒木さんや上村さんとの技術交流によって、栽培方法を進化させました。手間も減って生育も順調なのだそう。
 
こうして吉田さんも長崎県環境活動推進協議会に参加されて、現在、県内8市町村(西海市、島原市、時津町、雲仙市、佐世保市、南島原市、平戸市、長崎市)のボランティア活動をする皆さんが日々お互いの持っている経験・体験・知恵などを分かち合い、各々が自分の活動をより進化させています。

上村さん(協議会事務局):
皆さんと知り合って約10年前後です。活動は荒木さんは約10年、田口さんは33年、坂本さんは約20年、吉田さんは約20年、若手の谷口さんは3年。皆さん無名なところから地道にボランティアで活動をして、その努力が地域に認められて少しずつ活動を拡げて、一つ一つ実績を積み重ねてこられた方々ばかりです。吉田さんは全国で有名になられた方ですが、協議会の話をしたら一緒に参加してくださることになりました。
皆さん、長年の実績をお持ちですが、今のやり方を固定するのではなく、技術向上を目指しておられて、柔軟性があって、やり方を少しずつ改良していかれています。まずはこの仲間の中で技術と成果を向上させて、その上で、他の方たちにも広がるようにして、長崎県じゅうを元気にしていきたいと考えています。
長崎県環境活動推進協議会の事務局を務める上村誠さんは、協議会のメンバーの中では中堅ですが、環境活動を23歳くらいから試行し始めていて、経験は他のシニアの皆さんに負けていません。上村さんの活動は当時の国見町役場(2005年に7町が合併して雲仙市になる前)の環境課長さんや職員さんとの出会いによって本格的に始まりました。
 
上村さん:
20代の頃、実家の珠算塾で子どもたちにそろばん教えていましたが、兄からEMを使って地域のために環境のために良いことをしている人たちの話をいろいろと聞かされたので、自分も何かできないかなと思うようになりました。


当時、国見町では「ため池からひどい悪臭がする」と町民から苦情が出ていたのだそう。それをEMで解決できるのではないかと思った上村さんは国見町役場に相談に行きました。すると、環境課長さんは「悪いことをするのではないから」と、ため池へのEM投入を黙認する形で賛同してくれました。こうして、国見町がため池に大型の機械を入れて環境改善を行うまでの間、上村さんは培養したEMをため池に入れ続けました。
その後、平成13年(2001年)に有明海の養殖海苔の「色落ち」被害を受けて、有明海の水質浄化の気運が高まり、有明海に面する長崎・佐賀・福岡・熊本4県の市民・漁業関係者など19ボランティア団体による広域的な「EMじゃぶじゃぶ作戦」というのが開始されました。この取り組みに参加する団体に対するEMの種菌の購入支援サービスがありました。この話を聞いた上村さんは、国見町役場の環境課長さんに「EMの種菌の購入が夏の半年間だけ割引になり、EMがじゃぶじゃぶ使えるけれど、やりませんか?」と相談に行きました。
 
上村さん:
当時の環境課長、職員の皆さん、環境監視員さん達にはとても感謝しています。EMじゃぶじゃぶ作戦をきっかけに、国見町役場でEMを培養することを決めてくださって、1年か2年経ったときに、夏の期間だけでなく、通年でEMを使おうという話になり、300リットルのEM培養機を購入してくれました。
国見町役場でのEM培養の話は、隣町の役場に次々と伝わり、「国見町役場さんがやっているなら、うちもやろう!」と、当時の近隣市町の担当者さんが視察に来られたり、連絡をくださったりしました。その後、次々にEMの培養が開始されました。
 
上村さん:
初めは職員さんや嘱託さん達と汗だくになりながらEMをタンクで培養する仕込み作業をしていました。毎週もしくは2週間に一度のペースで全部を回りました。培養するため山の湧水を汲みに行き、バケツリレーをしてタンクに入れて持ってきてEMを仕込む現場もありました。現在では環境監視員さん達が心を込めて作業されています。
上村さんは、有明町(合併前)と島原市(合併前)でも、毎週もしくは2週間に1回の仕込みを職員さん達と汗を流しました。今でも職員さんや嘱託さん達と一緒に汗をかき、心を込めてEMの仕込み作業をしています。そして現在は、長崎県内のEMボランティアの皆さんの交流と技術向上のサポートに力を入れています。
 
長崎県環境活動推進協議会のメンバーの皆さんの環境ボランティア活動は、生ごみ等の減量化と環境教育等です。生ごみ減量リーダーとしての活動、道守(みちもり)という地元の道路の清掃美化活動、道守活動で集まる雑草などの堆肥化、そして、生ごみや雑草の肥料を使った家庭菜園等。農業用EM培養液を活用した畑で育った元気野菜を食べることで、地域のみんなが健康になり、子どもたちの教育にも役立っています。
 
今後、長崎県内で環境活動や健康活動を推進するため、皆さんが協力し合い技術向上することで進化し、持続可能な活動へと発展していくのがとても楽しみです。
 
取材日:2017年7月25日(U)


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