EMと共に生きる人々(WE USE EM)

ご縁と笑顔が広がる地域づくり~EMで結ばれる人たち~

出雲市佐田町を流れる須佐川。地元の住民たちの手によりEM団子が投入されている。
島根県出雲市は毎年旧暦10月になると全国の神様が出雲に集い、縁結びの会議を行うと古くから語り継がれる物語がある土地。
その出雲市では、EMが河川の水質改善や農業にも使われています。そこには、EMが結んだご縁と、地域のために活き活きと活動される方々の誠実な姿がありました。

「ご縁の種まき職人」錦織文子さん

今回の取材で出雲を案内してくださった錦織さんは現在、JAしまねの役員を務め、月に2回ほどJAしまねが主催する「有機の学校」という有機栽培を勧める講座で、EMボカシやEM団子作りを教えています。3年前からはJA女性部でEMボカシを肥料に使って無農薬でトマトを育て、保存料無添加のトマトケチャップの商品開発に挑戦しています。

「現役の頃は出雲市役所の環境保全課に所属していたので、環境への意識は強く、自然とEMを使う方向へ歩むことができました。当時は毎日孫たちの世話をしながら、平日に市役所の仕事、土日にはお習字の先生をして、手が空いた時にEMを作って、色々使って学んでいきました。市役所を退職してから、JAから声がかかってEM活用の指導を始めたんです」

錦織さんは、島根県内の各地で環境保全と家庭菜園の両面から、EMを活用したより良い地域づくりを支援しています。長年のEM活用の実践と指導の経験から、EMの使い方が上達するコツは「素直が一番」とのこと。「習ったことを素直にすぐ実践できる人が一番伸びます。我流に走らず、まずは教えられた通りにやってみることが大事。それでダメだったら、何でだろう?と疑問を持って、自分の頭で考える。その試行錯誤が上達する上で必要だと思っています」

EMの魅力は、「頑張った分だけ成果が出ること、そして使う人たちが笑顔になって繋がりが増えること」と錦織さん。「私はとても幸せだと思っています。EMをしていたことで、全国に励ましてくれる仲間がたくさんできました。お互いに電話で他愛のない話をしたり、相談をしたり、いつも元気をもらっています。おかげで日々が活き活きとして、こんな仲間はEMをやってきたからこそできたと感じています」

「今後は地元でEMのイベントをやってみたい」と、これからの取り組みの構想も膨らんでいます。錦織さんの願いは、地域の皆のためにもEMを使える人が育つこと。「やっぱり若いうちからEMに触れて、実践の経験を積み、シニアになった時に人前でも説明して教えられるリーダーとして活躍する。その流れを作る土台としてイベントは企画したいです。そこで若いお母さんたちにEMの楽しさを伝えたい」

錦織さんは今日も出雲中を走り回り、その明るさと笑顔で、地域の人々をEMのご縁で結んでいます。今回は、その中の二つのご縁をご紹介します。
錦織文子さん(左)と、出雲市佐田町にある須佐地域でEM活用を勧めるリーダーをしている神田久己子さん(右)

家庭排水から水質改善を。EMで故郷を守る【出雲市佐田町】

【出雲市須佐コミュニティセンターと地域の皆さん】

出雲市にある佐田町須佐地域は中山間地域にあり、日本神話ゆかりの自然豊かな里です。
須佐コミュニティセンターでは、事業として地域の住民と行政が一体となった協働の地域づくりを推進しています。地域住民が主体の地域振興協議会とともに自然学習やスポーツ、健康づくり、伝統行事などを取り入れた企画をし、地域を盛り上げています。

取材に伺った2017年11月23日は、須佐神社では新嘗祭が行われ、伝統の「大根鍋」が振舞われました。
大根は、この日のために、須佐コミュニティセンターや地域の皆さんが協力してEM栽培したもの。
伝統を大切に残そうと、調理にも心が込められています。

そして神社のすぐ隣では、地域を挙げたイベント「スサノオウォーク」が開催され、大勢の参加者の姿がありました。
清流が残る水の豊かな須佐地域ですが、小学校のプール清掃をきっかけにEMの効果に驚いたのは、須佐コミュニティセンターでセンター長として地域おこしに力を尽くす大崎強さん。

「須佐地域ではプールの水は下水ではなく、排水溝を通って川にそのまま流れています。以前は塩素の力で消毒して掃除をしていたので、プールの中にいたオタマジャクシなどの生き物が塩素で死んで排水とともに死骸が流れてしまい、その悪臭で排水溝に近寄れませんでした。ところが、EMでプール清掃するようになってからは、汚れがよく落ちるだけでなく、悪臭の苦情もなくなりました」

大崎さんは地域の川が汚れることを防ぐために家庭から環境を守ろうと、住民が環境意識を持って実践できる仕組みづくりを行ってきました。2007年から錦織さんを講師に招き、6地区で約18名のEM活用実践のリーダーを育成しました。
リーダーは1年間講習会に参加して、水を汚さない暮らしに役立つ廃油石けん作りや米のとぎ汁EM発酵液を使った家庭菜園のやり方を身につけました。そして、2年目には地域を回って、毎月EMの勉強会を行いました。「須佐地域の人口は約2000人。その中の約1%がEMを実践し、地域で活動していったら、すごく広がりますよね」と錦織さん。

 
  • 須佐コミュニティセンターでセンター長を務める大崎強さん(左)と錦織文子さん(右)。新嘗祭に、須佐神社へ奉納 する立派な大根と白菜。
  • 新嘗祭で振舞われた大根鍋。味が染みておいしかったです。
  • 2017年はEM団子を須佐川に1,900個投入!
さらに須佐コミュニティセンターでは自主企画として、須佐小学校の総合学習の一環でEM団子を子どもたちと作っています。斐伊川水系の須佐川の水質調査を一緒に行い、EM団子を投入し、自分たちの手でキレイな自然を維持する大切さを子どもたちに伝えています。

「昨年の夏には須佐川の上流で初めてホタルの観察会を開催して、親子で50~60人の方が参加してくださいました。子どもたちがキレイにしようと頑張っている川でのホタル観賞をきっかけに、親子で環境保全に関心を深めてもらえると嬉しいですね」

昨年は1900個ものEM団子を小学4年生の子どもたちが一生懸命にぎったとのこと。一学年10人ですが、和気あいあいと地区のリーダーの方と協力して作り上げたそうです。そして、11月には発酵したEM団子を須佐川に投入しました。

「EM団子作りは稲刈りが終わった田んぼの土を使うので、毎年9月にやっています。発表会では、私や錦織さんも登場人物で出てくるんですよ」と、こぼれんばかりの笑顔の大崎さん。

須佐地域では、地域づくりとともに世代を超えた絆を深め、地域には子どもたちの活き活きとした笑い声が溢れています。
1,900個のEM団子を作り終えて、達成感のある表情の須佐小学校と地域の皆さん。

組織の絆を強くする、手作りトマトケチャップ

JAしまね 出雲地区中部ブロック 女性部の皆さん。トマトのデザインを取り入れたお手製のエプロンを着てパチリ。1列目左端がインタビューに答えてくださった福間妙子さん。
【JAしまね 出雲地区中部ブロック 女性部の皆さん】

JAしまねの出雲地区中部ブロックの女性部の皆さんは、錦織さんの発案で2014年から加工用トマト「しゅほう」の栽培を始め、手作りトマトケチャップ「ば〜ばのケチャップ」を商品開発中です。栽培2年目の2015年は、苗数550本で収穫量約7.5トンほどでしたが、その翌年2016年には620本で約8.3トンにまで規模を拡大し、年々生産量を増やしています。

栽培は農薬や化学肥料を使用せず、錦織さんが講師を務める「有機の学校」で魚粉と燻炭、カニガラなどを混ぜて作ったEMボカシを土作りにふんだんに使っています。一番上手な人は1本の苗からトマト約20kgを毎年収穫しています。

「1年目に私の家の畑でトマトの栽培管理をみんなでやりました。その経験とノウハウを8つの支部に持ち帰ってもらい、2年目からはそれぞれの自宅の畑で栽培してもらいました。情報共有を行いつつ、3年目、4年目も、こうしてケチャップ作りに参加する会員数を増やしていったんです。今では、加工用トマトの栽培は中部ブロックの隣の西部ブロックにも一部波及しています。私たちが本当に楽しんで作っていることが伝わった結果だと思います。JAの女性部という特色を生かした活動をやりたいと思っていたので、嬉しいです」と錦織さん。

収穫したトマトは加工場に持ち寄り、にんにくとたまねぎ、しょうがなどと一緒にとろみが出るまで4時間ほど鍋で煮詰めます。「もう、ほんとに熱くてすごく大変なのよ!」と皆で交代しながら汗だくで調理する様子を思い出して、楽しそうな笑顔の皆さん。

「EMでトマトをきちんと育てていると収量が上がる。成果がわかるからみんなやる気が出て、さらに楽しい。しかも無農薬だから食べてもおいしいし、家族も喜ぶ。それがEMの魅力」と錦織さん。活動メンバーの福間妙子さんは、「ほかのトマトケチャップが食べられなくなった。家族に安心したものを食べてもらえるのが嬉しい」とお話してくださいました。

2018年は更に参加人数が増える予定。トマトの苗も750本に増やして、トマトケチャップ1万個の製造と一般販売を目指します。女性の力で元気よく、島根県の農業を支えています。
  • 支柱を立てず、ゴザの上で葉を伸ばす加工用の地這いトマト「しゅほう」。
  • 黒マルチの上に古いゴザを被せると、トマトの実が高温にならないのが良いところ。
  • 真っ赤な完熟トマトを使った手作りトマトケチャップ。香りがよく、トマトの酸味と旨みが効いてコクのある味わい。 ※商品写真は現在開発中のものです。