EMと共に生きる人々(WE USE EM)

Dr.田中佳のEM健康アドバイス~地獄の沙汰も菌次第?~

動脈硬化に 菌も関係している?

今回は動脈硬化について考えてみましょう。動脈硬化の原因はなんといっても酸化。だから抗酸化作用が発揮されるだけで酸化脂質は減少し、動脈硬化の元を減らすことができます。
抗酸化物質を多く含む食材としては様々な農作物が挙げられることはご存じでしょう。だから果物や野菜を食べると健康的となるのです。

しかし、調べてみるとそれだけではありませんでした。トリメチルアミンという物質が人における動脈硬化を促進するという研究結果が得られました。無菌マウスだとトリメチルアミンが発生しないことから、腸内細菌がトリメチルアミンを産生していると考えられています。
つまり、腸内にいる菌が動脈硬化の手助けをしてしまっているのです。

この物質は肝臓でトリメチルアミン N︲オキシドへ代謝され、血液中の血小板(血液を固める物質でかさぶたの元)を活性化する作用が高まります。
すなわち、血液中で血液が固まりやすくなり、血栓ができやすくなります。同時に、薬剤でコレステロール値を下げただけでは心臓病を防ぐこともできないことが明らかとなってきました。
 

善玉菌が増えることが大事

だからと言って、動脈硬化を防ごうとして腸内細菌を死滅させることは、私たちの生存そのものを脅かす本末転倒な考え方です。
なぜなら、腸内に善玉菌を増やすとご自身の治癒力を高めるという報告が医学界でも増えているからです。わかりやすい言葉で書けば、アンチエイジング、健康寿命の伸長、血液のサラサラ化、血栓予防効果(対動脈硬化効果)、消化吸収力の向上、対リーキーガット効果(リーキーガットとは腸管壁に穴があいて液漏れする症状)、悪玉菌の抑制、対アレルギー効果(恐らく対自己免疫疾患効果も)、対アトピー性皮膚炎、対がん効果などに善玉菌が関係しています。

菌の研究においては大腸の炎症を抑える菌種や、動脈硬化を抑制する働きがある菌種も見つかっています。善玉菌の一部の働きによって宿主(つまり人間)の免疫システムが是正され、芋づる式に動脈硬化が予防されるようです(具体的な仕組みは不明確)。

どの菌がダメで、どの菌が素晴らしいのかという研究が進んできてはいますが、シンプルに考えて腸内細菌が喜ぶことをしてあげれば、動脈硬化に限らず自然治癒力を底上げしてくれることを忘れてはなりません。
トリメチルアミンと動脈硬化という枝葉の情報に囚われず、腸内細菌を愛でてください。

彼らが喜ぶものは繊維質なので、農作物を食の中心に据えることは必須です。また、仲間の応援も腸内細菌は喜びます。発酵食品をせっせと食べることは素晴らしいことで、もし食べられない人は整腸的なサプリメントを摂ることが望ましいです。

実際にやってみれば結果は出る

整腸された証は大便の臭いに現れます。慣れるとわかってきますが、発酵臭(時に無臭)になります。基本的には“黙って座ればスルスルポーン”という軟便となります。便秘だ?

健全な肉体に便秘はあり得ません。便秘の話はまた別の機会にするとして、私は常日頃から抗酸化と軟便快便を心がけていますが、4年前に行った血管年齢測定で20歳並み、毛細血管レベルは32歳でした。
昨年の頸動脈超音波検査でも動脈硬化は微塵もなし。脳のMRIにおいてもこうそくそう梗塞巣は全くなく、脳血管は美しいままです。ついでに骨密度は108%(同年代比較)です。
血圧は未だに120/80㎜Hg前後で安定しています。ただ、軽度肥満。ここが欠落帳ですね。はっはっは〜!

昭和60年に東海大学医学部卒業後、同大学付属病院脳神経外科助手を経て、市中病院で急性期医療に長年携わる。脳神経外科学会および抗加齢医学界の専門医となり、悪性脳腫瘍に関する研究で医学博士を取得。現在は、予防医学、教育講演活動、執筆活動に取り組んでいる。主な著書「健康自立力」「続・健康自立力」(メタモル出版)、「健康の原点は食と腸にある」(きれい・ねっと)、「あなたが信じてきた医療は本当ですか?」(評論社)
医学博士 田中佳 氏