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EMの迅速な対応で、悪臭被害などを最小限に

冷凍魚の埋設処理にEMを活用。臭気対策だけでなく、土壌改良効果も

花巻市に本社を置く岩手コンポスト株式会社は、岩手県内の浄化センターや一般し尿処理施設からでる汚泥をEMで発酵堆肥化、農業資材「コスモグリーン」として販売しています。

3月11日の東日本大震災を受け、事業を通じてお世話になっている各市町村へ、何かをしなければという想いから、原則無償でEM活性液やコスモグリーンの供給を開始。
岩手県内にある被災地市町村では、水産業を主体とする産業構造のため、大型冷凍倉庫から流出した大量の冷凍魚介の処理が大きな問題になっていました。

大船渡市で約1万3,500トン、陸前高田市で約2,000トン、合計1万5,000トン以上になる埋設処理を行政からの要請により、岩手コンポスト㈱が行いました。
様々な報道により、冷凍魚の処理の行方が話題に上がっていましたが、なぜか早々に沈静化していたのは、EM活性液とコスモグリーンによる大規模かつ迅速な処理がなされたからでした。

その規模は縦30メートル横10メートル、深さ4メートルの埋設穴に、全容量の約75%にあたる深さ3メートルまでの冷凍魚を入れ、そこにEM活性液と、水分調整のためのコスモグリーンを大量に入れ、その上にコスモグリーンと土砂でフタをするといった手法です。

この手法は行政との綿密な協議で行われました。8ヶ所の埋設場所の作業には、それぞれ行政から指定の業者があたりました。
一部の埋設場所では、水分が過剰だったため、上部の土砂が沈下して、発酵した魚醤みたいに、たまりのような液体があふれたりと、後の対応が必要だったとはいえ、EMだからこそ、悪臭や衛生対策ができたのではと思いました。

しかしながら、手続き上の行き違いなどで、陸前高田市の2,000トンはその後掘り返され、海洋廃棄となりました。

EMの発酵堆肥は農業はもちろん、悪臭対策や土壌改良など被災地にEM効果を

岩手コンポスト(株)本社
岩手コンポスト㈱は、岩手県内の浄化センターや一般し尿処理施設からでる汚泥を1日約70トン受け入れ、堆肥化を行っています。
EMを導入したきっかけは今から18年程前、平成5年にし尿処理の汚泥堆肥化の会社を立ち上げた当時、悪臭対策に行き詰っていたからです。

悪臭は酷く、近隣の苦情も出始めていました。そんな時にEMを知り、沖縄へ出かけたり、EM開発者である比嘉教授の講演へ足しげく通って改善の道を探ったそうです。
EMは悪臭の軽減だけでなく外来種などの発芽抑制にも効果があることがだんだんとわかってきました。
発酵熱により高温になるにも関わらず、製品である発酵堆肥「コスモグリーン」には微生物が多数存在し、EMの効果を土壌で発揮することが発見されました。
内容分析の結果においても、重金属がほとんど出ないことや、栽培した作物が日持ちがすること、そして何より味が良いことなど、コスモグリーンの品質の高さに自信を深めています。

現在では発酵堆肥の製造のみならず、コスモグリーンで栽培した農産物の流通も拡大しています。
今回の震災では、冷凍魚類の悪臭対策やその他土壌改良に、コスモグリーンが大活躍しています。

1トンタンク17基を岩手県下被災地市町村へ

釜石市生活応援センターでEM活性液の説明をする岩手コンポスト(株)の菅原専務
岩手県の宮古市、大船渡市、大槌町、釜石市、陸前高田市には現在合計17基の1トンタンクが設置されています。
EM活性液も岩手コンポスト㈱が災害支援の一環として供給、必要とする市民へ無償で提供しています。

こうした、市民へのアプローチによって、EMは災害当初の緊急的な役割から、復興への日常生活の中に着実に浸透し始めています。
臭いものにフタをするだけではない、根本的な環境浄化へとつながるEMに期待が高まっています。

菜の花にかける復興への思い

菜の花プロジェクトを支援する
ボランティアの皆さん。手前右は岩手コンポスト(株)の菅原専務、右から2番目が金山文造さん
壊滅的な被害があった岩手県上閉伊郡大槌町では、一人の漁師の声かけで、大槌川の河川敷1万2,000平方メートルに、希望の黄色い花を咲かせようと、「菜の花プロジェクト大槌」がスタートしていました。

発起人の金山文造さんは「近隣の住民の90%は水産関係、しかし今は仕事がない。
このままでは若い人が戻ってこない。だから少しでも希望の色の菜の花を植えたい」と、新しい町おこしへ向けて菜の花を植えてつなげようと、河川敷を片づけ始めました。

今では噂を聞き付けたボランティアの方々が土日には100人以上参加しています。
この河川敷にもEMの1トンタンクが設置されていました。
またコスモグリーン20立方メートルが、河川敷のあちこちに積み上げられて、良質な堆肥として出番をまっています。