• #EMと共に生きる人々

タイ王国でEM菌を再発見!

タイの大地とEM(有用微生物群)が出会ったのは30年以上前のこと。人も大地も健康で豊かになる理想の農業。
タイの人々によってEMが大切に育てられ、信じられないほど多くの笑顔を生み出すことになろうとは、いったい誰が想像できたでしょう。


※EM(通称:EM菌*)はEffective(有用な)Microorganisms(微生物たち)の英文の頭文字に由来しています。その名の通り、特殊なひとつの菌ではなく、乳酸菌や酵母、光合成細菌など、どこにでもいる微生物で、人間にとっていい働きをしてくれる微生物の集まりです。
「EM菌」という菌は存在せず、EM中の微生物の集合体の総称として広く使われています。

タイの大地とEMが出会ったのは30年以上前のこと。人も大地も健康で豊かになる理想の農業。
タイの人々によってEMが大切に育てられ、信じられないほど多くの笑顔を生み出すことになろうとは、いったい誰が想像できたでしょう。

タイ王国ってどんな国?

東南アジアの中心に位置するタイ王国。

タイは、その長い歴史の中で日本と政治、経済、文化のあらゆる面で友好関係を築き、親日国としても有名です。
日本の民間企業が多く進出し、人口約7,000万人のタイに7万人を超える日本人が暮らしています。
タイの気候は高温多湿で一年中蒸し暑く、6~10月の雨季には毎日1~2時間も雨が降ります。
タイは仏教の国と言われる通り、国民の9割が仏教徒。

18世紀~20世紀の東南アジアが植民地化された時代には、西と南(ミャンマー、マレーシア)はイギリス、東(ラオス、カンボジア、ベトナム)はフランスが占領する中、タイは国王ラーマ4世の外交政策とラーマ5世の近代化の改革によって唯一独立を維持しました。
タイを知るためのキーワード「足るを知る経済」

タイの人々に深く浸透している仏教の中に「中道」という考え方があります。

両極のどちらにも偏らない正しい道という意味。故プミポン・アドゥンヤデート国王(ラーマ9世)が、1997年のアジア通貨危機により崩壊したタイ経済を立て直すために提唱した「足るを知る経済」という哲学は、まさに中道で、物質的富の生産に偏らず、環境に優しく持続可能で自足的な社会をつくることを説いています。

ラーマ9世は、国際化の時代に貨幣経済の激変に影響を受けることなくすべての国民が安心して暮らせる国家ビジョンを掲げ、脆弱な天水農業地域の農家のために具体的な農地計画を示す「新理論農業」という持続可能な開発モデルも打ち出しました。

私たちが健康になれる食べものを生産しよう

専務理事カニット・ムアンニル氏にお伺いしました!
サラブリー県 国際救世自然農法センター

最近、私は母校である国立カセサート大学で大学教授と私の同級生たちに向けて、特別講演をしました。テーマは「食と健康」です。約1000人いる私の同級生の中で、毎月誰かが亡くなり、その多くは、がんです。
私は、彼らに自然に育った農産物は薬であること、自分が自分の医者になることの大切さを伝えました。健康に生きていくには大切なことに気付かなければなりません。

現在、タイ国内で生産販売されている有機農産物は全体の1%に到底及ばない少なさです。
ここに研修に訪れるタイ人は、最近では家庭菜園をするために学ぶ人たちもいます。
彼らは私たちの提供する自然農法の野菜の料理を食べて、味の違いを確実に実感して帰ります。
私の願いは、50年後のタイの農業が化学肥料や農薬を使用しない健康的な農業に転換することです。

この農場は1988年から栽培を開始し、この30年間で合計59の国と地域の方々が研修や視察のために訪れてくれました。EMと自然農法の研修会の参加者は国内外を合わせて25万人以上、その内、外国からの参加者は3500人以上になります。現在は、2ヶ月に1回のタイ人向けの講習会、年2回の外国人向け講習会を開いています。

農場の面積は70ヘクタール。約30年前、政府によって開発・販売されていた土地で、農業には全く不向きな痩せた土地でした。このことから、EMを活用した自然農法を行えば、どんな土地でも農薬・化学肥料なしで立派な作物が作れるようになることを証明しているのです。


■国際救世自然農法センターについて
国際救世自然農法センターは、EMを活用した自然農法のモデル農場を運営している。農場内には、バナナやマンゴーなどの熱帯果樹が立ち並び、野菜、米、芋、キノコなどを栽培している。鶏や豚、アヒルや魚なども飼育され、生ごみや家畜の糞はEM発酵で堆肥化されている。EMボカシ肥料やEM団子、EM炭などを作る広い作業スペースがあり、一度に何百人もの参加者を受け入れてEMと自然農法の研修会を行っている。

タイから世界へ拡がるEM農業技術

アジア太平洋自然農業ネットワーク(APNAN)
APNANは、30年間にわたって東南アジア諸国を中心としたEM活用事例の国際的な情報交流の機会を設けています。
EM活用技術とその成果を知り、自分の国や地域にも導入しようと、前ページで紹介したEM自然農法のモデル農場に学びに来る人々が絶えません。

近隣諸国だけでなく、ヨーロッパやアメリカからも多くの研修者が訪れ、EM活性液やEMボカシなどのEM資材の作り方、農業、畜産、水産での具体的な使い方を学んで帰ります。その結果、タイは世界中にEMを発信する中心地となりました。

現在では150ヶ国以上でEM技術が活用されています。2018年のAPNAN会議では、これまでのEM活用技術の普及活動の一つの大きな成果とも言うべき、世界で初めて完全な有機農業化を果たしたインドのシッキム州の取り組みが発表されました。
  • インドでのEM活用事例報告をする株式会社メープル 統括部長ファルハッド氏。
  • 2018年11月にタイのサラブリー県で開催されたAPNAN会議の様子。23の国と地域からEMを活用する企業や行政の代表者が集まり、情報交流を行った。
発表事例
ーインド シッキム州ー

シッキム州はインド北東部に位置する、ヒマラヤ山脈に囲まれたかつてのシッキム王国で、1975年にインドに編入された人口約61万人の小さな多民族の地域です。
2003年シッキム州政府は州議会で州の農業全体を有機に転換することを宣言し、州立オーガニック委員会を設立しました。

有機農法への転換に向けた最初の具体的行動は、EM技術を使用した有機農業村プログラムの採用です。2003年以降、396の村が有機農業村として認められ、14,000人の農家と14,000エーカー(約5,700ヘクタール)の土地が登録されています。
州では化学肥料と農薬の使用を排除するため、代替有機資材としてEM堆肥、EMボカシ、EM発酵植物エキス(無農薬の害虫忌避剤)を推奨しました。

インドでEM商品を販売するメープル社は州農業省の支援の下、村ごとに農家に対してデモンストレーションを行い、EM技術に対する農家の信頼を得て、農場でのEM技術の研修を実施してきました。
農家は、シッキム州を完全な有機農業の州にすることを宣誓し、トレーニングを受け、実践しました。
その結果、2015年までにシッキム州の農地は全て有機認証を受け、世界で初めて完全な有機農業の州となり、2018年10月に国連による「未来政策賞」金賞を受賞しました。

(参考:2018年11月 メープル社APNAN会議発表資料 および
  シッキム・オーガニック・ミッション www.sikkimorganicmission.gov.in)
※国連食糧農業機関(FAO)、世界未来評議会(WFC)、非営利団体IFOAM - Organic Internationalが共同でこの賞を授与する。

EM菌で解決!エビを安心して食べられる?

エビの養殖が盛んな地域は中国、東南アジア、南米の国々。その中国で10年前にエビが早期死亡する病気が流行し、東南アジアにも拡がりました。そのため、養殖ではエビの病気と死亡を防ぐための薬品が色々と使われています。
また収穫後にも添加物を使用するのが一般的で、エビの安全性は気になるところです。

エビ養殖にEMを活用して、しっかりとした管理をすることで、薬品を使わない安全なエビの養殖が可能です。
タイ国内でEMを製造し、製品の管理と販売を行っているタイの現地法人のEMROアジア社と、経験豊富なニタヤファームが共同で薬品を使わないエビ養殖と、収穫後も添加物を使わない加工販売を2016年から行っています。

エビが早期死亡する原因はエビの肝膵臓に棲みつく細菌によって引き起こされます。養殖池の水とエビのエサにEMを入れると、水中の大腸菌や病原菌が減り、エビの腸内微生物そう叢の多様性が保たれます。その結果、病気の蔓延を防ぐことができます。
  • EM養殖エビは臭みがないのが特長
  • ニタヤファームのEM養殖エビは「結のエビ」という商品名で日本に輸出、販売されています。
エビの養殖池にはエサや排泄物などの堆積物が溜まり、水が汚れるので、水の入れ替えが必要です。多くのエビ養殖農家は、養殖場の外に汚水を捨てるため、周辺の水環境が汚染されます。

また、養殖池の汚れが限界に達し、エビが育たなくなるとその土地を放棄して、新たなマングローブ林を伐採し養殖池を作ります。エビ養殖と水の環境汚染・自然破壊という問題は表裏一体です。

そこで、ニタヤファームでは養殖池の水をEM技術と砂ろ過装置を使って浄化する完全な循環システムを作りました。
養殖場の中で水のリサイクルができれば、同じ土地で長期的に養殖事業が可能です。
この環境汚染や破壊のない循環型モデルは、同時にエビの病原菌の感染リスクも減らすことができます。

EMROアジア社では、このエビ養殖モデルを世界に拡げていくため、養殖池の水とエビの肝膵臓および腸管内の微生物そう叢のデータを収集し、科学的な研究成果とエビ養殖のノウハウを蓄積しています。
  • ニタヤファームとEMROアジア社のエビ養殖場(所在地:ペッチャブリー県 敷地面積:約30ヘクタール)
皆が幸せになる農業をつくる
①豊かな自然環境、②農産物の安全性、③食べる人の健康、これらは誰もが守りたいと願いながら、現実には様々な理由で守ることが難しくなっているものばかり。
​しかし、EMを使えば農家は環境保全型の農業に切り替えることが可能です。実践すれば収穫量が増え、経営の安定にも寄与するので、農家も進んで取り組めます。農家が行動すれば、①、②、③は手に入ります。EM農業はどの角度から見ても皆が幸せになる道です。
依然として農薬・化学肥料による農業が主流ですが、タイにおける30年間の実践と教育活動は、着実に実を結んでいます。
陸軍大将 ピチェート・ウィサイジョーン氏(写真右)

タイの英雄を紹介「国民の幸せな生活を創り、国を守る人」

タイの近年の大きな危機と言えば、1997年のアジア通貨危機、そして2011年の大洪水。この時、タイは国を挙げて問題解決にあたり、タイ陸軍が農村や災害現場でEMを活用した活動を展開しました。
なぜEMだったのか? EMを武器に国と国民を守ってきたピチェート陸軍大将を取材しました。
ピチェート大将の人柄を知る
●子どもの頃からお父さんを見習って人助けをするのが好き。
●タイ陸軍士官学校の学生時代から約20年間シリキット王妃の護衛を務めた。
●タイ南部の総司令官を経て、陸軍兵約24万人を率いる陸軍司令官トップ5(五虎)に入り、活躍。
持続可能な農業でなければ森林破壊は止まらない
■ポイント1「王室主導のプロジェクト」
前国王ラーマ9世は、特にタイ国民の生活水準を引き上げて、暮らしを豊かにするための数多くの事業を直接支援し、陸軍がその事業の実行部隊になることもありました。
東北部の緑化プロジェクトはその一つ。森林破壊(焼畑農業)や貧困、麻薬になるケシ栽培など数々の問題を解決するため、農家の生活を安定させる持続可能な農業を支援し、EMが活用されました。
 
■ポイント2「東ティモールでの国連活動でEMも活躍!」
東ティモールはポルトガルによる植民地支配と、その後のインドネシアによる占領が続いていました。そして住民投票により独立が決定的となった1999年、国民が独立派と反独立派に二分し、インドネシア軍も加わり国土を壊滅させる破壊と虐殺が起こりました。
国連の暫定統治を経て、2002年の独立後も国連が国づくりを支援する平和維持活動(PKO)が開始されました。その際、タイもPKOに参加し、陸軍を東ティモールへ6か月間派遣しました。タイ陸軍は国連が要請した任務に加えて、自国での経験を活かし、自主的に東ティモールの人々に寄り添い、EMを活用した農業の指導なども行いました。
  • 現地の人にEMを使った肥料の作り方を教えるPKOに参加したタイ陸軍

ようこそ!タイ陸軍のモデル農場へ

モデル農場の正式名称は、
「地域セキュリティ開発プロジェクトセンター 『ドンナタム』タイ王国陸軍第6駐屯地 ウボンラーチャターニー県」
ラオス、カンボジアと国境を接するタイ東部のウボンラーチャターニー県。
ここには、ピチェート大将によってタイ陸軍内で最初に作られたモデル農場があります。

陸軍のモデル農場では、農家に向けてEMを活用した農業を教えています。全国各地の陸軍施設にモデル農場がありますが、この農場だけでEM農業講習会を受講した人数は170万人にのぼります。
国境が近いため、国内だけでなくラオスやカンボジアからも講習を受けに来ます。その他、オーストラリアの軍人やアメリカの学生なども学びました。

■どうしてタイでは陸軍の兵士が農業を教えるの?
①戦争になった時に、食料を自給できる軍隊は強いから。
②国境周辺の農家が食べるものに困らないようにすることは国防に繋がるから。
  • モデル農場では、EM活性液、EMボカシ、堆肥の作り方、キノコ栽培方法、生ごみ分解用ミミズの飼育、
    カエル、ナマズの養殖方法、家畜の飼育方法を見学できる。
  • 低コストで効果的な農業の工夫を見学しながら学ぶことができる。
  • ビニールシートを張って手作りする魚(ナマズ)の養殖池モデル。
  • EMを入れているので、池の水の腐敗が防げる。
  • EMブロックの作り方も教えてもらえる。土とセメントとEMを混ぜて作るブロックは市販品を買うより安価に作れる上、硬くて頑丈。
  • これくらいの大きさの家なら2万バーツ(約6万円)で建てられる。
陸軍のモデル農場で学ぶ人々に語るピチェート大将

ピチェート大将の言葉「全ての国民が食べて 生活していける国にする」

■国王の願いを実現する
陸軍というのは他国から見れば戦うだけの存在ですが、私たちはラーマ9世(前国王)の国軍ですので、国民を守りたいと願う国王の意志に従い国民を守ります。
軍が国を守る活動をするためには、国民の協力が欠かせません。そのため、国民との信頼関係を築くことが何より大切なことです。ラーマ9世の教えは(1)カオチャイ:理解する。国民の生活、考え方、国民の抱える問題を理解する。(2)カオトゥン:近づく。国民の近くに行って行動する。(3)パッタナー:発展する。国民が望んでいることを理解し、発展を援助することです。

■EMを使った農業で、食べていけるようになる
EMの活動の根底にあるのは、私たちは食べないと生きていけないという現実です。農業の目的はコストを抑えて収穫量を増やすこと。その方法を教えるためにEMはとても有効です。
東ティモールでの平和維持活動(PKO)の任務につく前、一度現地の視察に行きましたが、東ティモール人同士が争っていて話しができる状態ではありませんでした。しかし、食べるものがある環境ならば上手くいくと思いました。彼らが食べて生活していけるようにするための手段はすべて頭の中にありました。

派遣された翌日には、農家のところに行って、EM活性液を作って、池を掘って、タイから持ってきたナマズを放しました。お医者さんを一緒に連れて自転車で彼らの住む地域を回りながら、その場で治療をし、野菜の種を配りました。
魚を飼い、稲や野菜を育て、駐屯地の近くにはモデル農場を作りました。
農業には水が必要なので、潅水設備の整備からやりました。

現地は農業に適した土ではありませんでしたが、EMを使うと2ヶ月後に立派な野菜が収穫できました。現地の人が興味を持って見に来たら、やり方を教えました。
道路の建設など本来の任務を遂行しながら、EM堆肥の作り方や水牛で土を起こすやり方、稲の収穫時のカマの使い方など、あらゆることを教えて現地の人たちを支援しました。

EMを使った農業は最高の結果をもたらしました。食べるものがたくさんあるので、現地の人々の方から話しに来てくれました。私たちの依頼にも応えて行動してくれましたし、紛争解決の話し合いの場も設定でき、私たちの話を聞いてくれました。信頼関係を築くことによって問題解決の道を開くことができました。

私たちが彼らに教えたことは、「足るを知る経済」の生き方です。EMを使った農業のやり方は簡単で、彼らにもできて、お金もかかりません。PKOに参加していたオーストラリア軍とポルトガル軍の兵士、同じチームだったフィリピン、韓国の人たちにもEMの使い方を伝えました。

タイ南部でテロの解決の任務に就いた時も、漁師たちと一緒にEM団子を作って、海に入れました
すると魚が増え、彼らの1日平均の稼ぎは600バーツから3000バーツに増えました。
食べるものがあって、生活が楽になってくると、彼らと対話できるようになります。国民を理解し、共に行動し、村を豊かにする、それが国家の問題を解決する道です。
 

化学肥料で貧しくなり、EM有機農業で豊かになる

ピチェート大将は陸軍を退役後も、農家の暮らしを豊かにするための活動を続けています。農家にEMを活用した有機農業への転換を勧め、EM堆肥工場を作り、農家のための具体的な支援を行っています。

EM有機農業を勧める大きな理由は、農家の収入を増やすためです。水田の稲作の例では、年々、化学肥料・農薬にかかるコストが増え、米の収穫量は減り、副収入になっていた魚やカニなどの漁穫量が消えています。
農家は赤字が拡大し貧困が深刻化しています。EM有機農業の成果はゆるぎなく、着実に今後も拡がっていくことが期待されます。
  • 区長のスポン・ソムプァワさん。
    将来は町内を全て有機農業に切り替えたい。除草剤などの農薬使用を皆に止めさせて、川で獲れていた魚やエビを回復させたい。農家も消費者も皆が健康になるようにしたい。
  • マナチャイ・コングスクさん。
    ピチェート大将に勧められてEM活用1年目。化学肥料の田んぼと比較して、自分のEMボカシの田んぼの米の出来が良いのがはっきりわかる。将来は町内のEM有機農家のリーダーになりたい。
授与式で、タイ王室のシリントーン王女殿下より
証書を手渡される比嘉照夫教授(写真所有:ナレスアン大学)

タイへの貢献者として国立ナレスアン大学が比嘉照夫教授に 名誉博士号を授与

2019年1月25日、タイ王国の国立ナレスアン大学から比嘉照夫教授(琉球大学名誉教授、農学博士)に名誉農学バイオ技術博士号が授与されました。
比嘉教授の開発したEM技術による農業生産者と消費者の健康に役立つ環境保全型農業の実現、そして人と自然が共存共栄する持続可能な循環型社会の創出への貢献が称えられました。

比嘉教授がタイの国立大学から名誉博士号を授与されるのはこれで2度目。
2013年には私立ラジャマンガラ工科大学から名誉哲学博士号(持続可能エネルギー及び環境)を授与されています。
 
左:化学肥料、右:EM堆肥を使用。稲の生育に大きな差が出る。米の収穫量はEM堆肥が化学肥料の2倍に。
-比嘉教授からワンポイント講座-
熱帯地域ではなぜ化学肥料の使用がダメなのか?

農薬や化学肥料は周りの物質を酸化させる酸化剤です。これを気温が高い熱帯で使用すると、土が酸化します。緩衝剤になる有機物も速やかに分解されて消えるので、土の酸化は急速に進みます。そうなったら最後、土の生態系は酸化を好む微生物だけになり、何をやっても錆びる土ですから農作物は年々育たなくなります。化学肥料では、土を柔らかく肥沃にすることは不可能です。酸化を抑制し、蘇生させるEM(微生物)だからこそ、実現可能なのです。
-まとめ-
EMはそれ自身が生命体であり、土や水、植物や小さな生き物たちの生命力を蘇らせる存在です。
そんなEMは、自然と調和した発展を目指すタイ王国の「国の想い」と一つになって、人々の暮らしの中に息づいています。
次はあなたの暮らしの中で、EMを再発見してください。