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Dr.岡野寛のEM健康アドバイス~ 日本人のこころとからだを支える「お米」のお話~

お米の成分やおいしいお米の炊き方など、日本人の心と体を支えるお米のお話をDr.岡野 寛(カン)氏に伺いました。
 

日本の情緒を育む田園風景

田園風景を見て美しいと感じたことはあるでしょうか。私は以前、千葉県鴨川にある大山千枚田の田んぼを借りて、農家の方の手ほどきを受けながら稲作を体験しました。稲の香り立つ水田にたたずむと、なぜか自然にこころが落ち着きました。千枚田はとても美しく、田園の美しい風景は、日本人の情緒と深くかかわり、「国家の品格」(藤原正彦著)にも品格をなす条件としてあげられています。

お米は、日本人の「主食」として親しまれてきました。だからこそ、かしこくおいしくいただきたいものです。そこで簡単に、お米の効能や、おいしい炊き方をご紹介します。

 

お米の成分と効果的なたんぱく質の摂取方法

玄米は、ぬか層、胚芽、胚乳から構成され、精米によってぬか層と胚芽を除くと精白米になります。精白米の成分は、食品成分表によると、水分約15 %、炭水化物(ほとんどがでんぷん質)約77%、たんぱく質約6%、灰分、脂質1%未満となっており、たんぱく質も多く含まれています。たんぱく質はお米の外層に多いのですが、必須アミノ酸のリジンが少なめです。そのため、リジンが多く含まれる味噌や納豆などの大豆製品と組み合わせることでたんぱく質利用効率※が良くなります。ですから、ご飯とお味噌汁の組み合わせは、とても優れた知恵なのです。

また、精米を7分づきくらいにすると、胚芽やぬか層も含まれ、ビタミンB群やたんぱく質の摂取効率がさらによくなりおすすめです。

※「たんぱく質利用効率」とは、摂取したたんぱく 質がどれだけ消化吸収され、体内で使われるかを表す数値。

 

おいしい炊き方 お米からご飯へ

日本人が好むおいしいご飯の条件とは、つやがあり、適度な弾力と粘りがあり、ほのかな甘みと旨みがある温かなご飯です。おいしそうですね。今ではスイッチひとつで炊飯できますが、おいしく炊けるちょっとしたコツをご紹介します。


①洗米
お米を「研ぐ」目的は、ぬか層を落とすためです。しかし、最近は精米の精度が高く、ぬか層が少ないため、水を換えて数回洗うだけでも十分です。おむすび用は、洗米しすぎない方がおいしくできます。

②加水
おいしいご飯は、お米の重量の約1.5倍の水で炊飯します。
新米は水分の浸透率が高いので少な目に。(5合だったら約4合分の水)

③浸水
約30分程度の浸水時間をとりましょう。お米の中心まで糊化が進みやすくなり弾力が増しておいしく炊きあがります。

④加熱
加熱過程は4段階。火入れ(はじめちょろちょろ)、沸騰(なかぱっぱ)、蒸し煮(ぶつぶついったら火をひいて)、蒸らし(赤子泣いても蓋とるな)。


最後の加熱は、上手な炊き方の知恵ですが、今は炊飯器におまかせですね。お鍋で炊く場合、火入れをし、沸騰したら火を弱め、蒸し煮の約20分間は、お鍋の温度を98度以上に保ちます。火を止め、約4〜5分蒸らし、お米の糊化を安定させます。

最近は、ほとんどお鍋で炊くことがなくなりましたが、お鍋で炊いたご飯をお櫃に入れて保存すると、とても良い香りが移り、さらにおいしくなります。

この機会にぜひお鍋で炊いてみてはいかがでしょうか。

 

お米に感謝の気持ちをのせて

お米は日本人の「こころ」。しっかり噛んでほのかな甘みを味わいつつ、田園に想いをはせながら香りを楽しんでいただきましょう。それでは、おいしく召し上がれ。
まとめ 日本の田園風景は、こころと情緒をつくりだす。

お米の効能引き立てる。大豆製品・味噌・納豆。七分づき。ビタミン・タンパクよく摂れる。お米は研がず、洗うだけ。 30分は置きましょう。たまにはお鍋でご飯を炊いて、お米の香りを楽しもう。

医師(産業医) 岡野 寛(カン)氏

東京出身。東京慈恵会医科大学にて研修。浜松医科大学心療内科勤務、亀田リハビリテーション病院後期研修、沖縄県中部地区医師会健診センターストレスチェック制度立ち上げに関わる。現EM グループ産業医。「こころから研究所」代表。専門領域:心療内科登録認定医・リハビリテーション認定医・東洋医学・経絡治療(鍼)・日本医師会認定産業医・健康経営アドバイザー。

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