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Dr.岡野寛のEM健康アドバイス ~発酵食品の良さ~

Dr岡野寛(カン)氏になぜ発酵食品を摂ると体に良いのか、発酵食品のチカラについて教えていただきました。

発酵食品のチカラ

今回は、発酵食品に隠されたとても大切なチカラをご紹介したいと思います。

素朴な疑問なのですが、なぜ発酵食品を摂ると体に良いのでしょうか。実際に私自身も味噌や塩麹などを使った料理を食べると、お腹の調子が良くなりお通じも快調になるのですが、これにはいったいどんな仕組みがはたらいているのでしょうか。

そもそも発酵とは何か

発酵とは、微生物(乳酸菌・麹菌・酵母など)のはたらきによって食物が変化し、人間にとって有益に作用することをいいます。また、反対に有害になる場合を腐敗といいます。発酵は食物のおいしさや栄養価、保存性を高めるだけでなく、腸内環境の改善や抗酸化作用など、とても良い健康効果をもたらすのです。

「麹」は日本独特

日本で発酵食品といえば「麹」ですね。「麹」は麹菌によってつくられます。実はこの麹菌は、糸状菌というカビの一種で、日本をはじめ湿度の高い東アジアや東南アジアにしか生息していないものです。しかも、日本の麹菌は「コウジカビ」と言って、中国や台湾、朝鮮半島などに生息する「クモノスカビ」とは異なり、日本の「国菌」に認定されている日本独自のカビなのです。

発酵食品は何がいいの?

◎ 食品の保存性が良くなる
食品の保存には「乾燥・塩漬け・燻製」などがありますが、「発酵」もその一つです。発酵を促す微生物が増えると腐敗菌を寄せつけず、発酵で生成される乳酸や酢酸、アルコールには殺菌効果もあり、雑菌の増殖を抑え、食品のおいしさを保つことができます。

◎料理の味わいや香りが良くなる
発酵によって、おいしく食べやすくなる特長があります。日本人が定義した味覚の一つに「うま味」がありますが、発酵によってこのうま味がもたらされます。発酵食品の独特な香りも、発酵過程で微生物の作用で生成される香気成分によるものです。

◎栄養価や健康調節機能が良くなる
発酵で栄養価や健康調節機能が大幅に上がり、納豆に含まれるビタミンB2は煮大豆の約10倍、葉酸は約3倍に上昇。大豆にはほとんど含まれないビタミンK2も納豆では豊富に。イソフラボンも体内に吸収されやすくなり、老化予防の抗酸化物質も産生されます。

発酵が体に良いのはなぜ?

◎体内への吸収が良くなる
発酵過程で微生物が原料の栄養素であるでんぷんやたんぱく質を分解するので、体内での分解が減り、体への負担が軽減されます。

◎免疫力が高まる
発酵食品に含まれる乳酸菌や納豆菌には、腸内環境を整える働きがあります。発酵食品をとり入れることで免疫力が高まり、健康維持に役立ちます。

◎若々しさをサポート
老化を抑えるには、抗酸化物質の摂取が有効です。発酵食品には、抗酸化物質であるポリフェノールなどが豊富で、体の酸化を防いでくれます。

◎美肌効果
また、発酵の過程でつくられるアミノ酸や酵素が新しい細胞の生成を促すため、美肌効果も期待できると言われています。

◎代謝アップや生活習慣病の予防になる
発酵食品に含まれるビタミンB群は、代謝を促進する作用があります。また、大豆系の発酵食品に含まれるイソフラボンは、血液中の悪玉コレステロールを減らす働きがあり、動脈硬化の予防に寄与することがわかっています。

◎ストレス軽減に役立つ​
味噌や納豆、ぬか漬けなどの発酵食品には、天然アミノ酸の一種であるGABA(ギャバ)という物質が含まれています。GABAは神経伝達物質として脳の興奮を鎮めて、イライラを抑え、リラックスをもたらす抗ストレス作用があるとされています。


いいことずくめの発酵食品。暮らし自体に発酵食品を活用し、日々の活力源として、若々しさを保ち、いつまでも元気でいるために、一日一食は発酵食品を摂りたいものです。
 
免疫力 気分晴れやか 発酵力

発酵の チカラで今日も 腸元気

摂れば直(す)ぐ からだに現(あらわ)る 発酵食

「疲れたな」と思ったら 発酵食品摂ってみよう

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医師(産業医) 岡野 寛(カン)氏

東京出身。東京慈恵会医科大学にて研修。浜松医科大学心療内科勤務、亀田リハビリテーション病院後期研修、沖縄県中部地区医師会健診センターストレスチェック制度立ち上げに関わる。現EM グループ産業医。「こころから研究所」代表。専門領域:心療内科登録認定医・リハビリテーション認定医・東洋医学・経絡治療(鍼)・日本医師会認定産業医・健康経営アドバイザー。