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インフルエンザとの付き合い方

インフルエンザは勝手に治る


冬が近づいてくるとインフルエンザの話題が出てきます。そして、インフルエンザに怯える人々が右往左往する世間を見ると困ったものだと常々思うのです。

インフルエンザウイルスに感染すると重病であるような錯覚をされている方が多いように思いますが、基本的に「勝手に治る」感染症です。風邪と大差は無いと思って構いません。なぜ勝手に治るのかというと、ご自身の免疫機能が働くからです。この免疫機能をちゃんと働かせておけば恐れることはないのです。

インフルエンザワクチンについてですが、なぜ毎年インフルエンザが流行るか考えたことはありますか?それはウイルスの型が変わるからです。人から人へ感染する度に変異するとも言われており、どう変異するか分からないので人は免疫を持てず、流行を許します。どんな変異体のウイルスが来るか分からないのにワクチンが作れるのでしょうか?

例えて言うと、どんな鍵穴になるか分からないのに、鍵を作る事が出来ますか?ということです。ですから、インフルエンザワクチンが効くという理屈は成立しません。ワクチンを接種したから症状が軽く済むという理屈も成立しません。私は接種するだけ無駄どころか、副作用をもらうことだと思っています。

感染症を予防する場合、宮崎県の鳥インフルエンザ蔓延の時に何をしたか思いだして下さい。全身に防護服をまとい、消石灰を大量に撒き、通過する全ての車を消毒し、感染した疑いのある鶏を丸ごと殺処分しても防げない程なのに、うがいや手洗いで防げると思う方がおかしいでしょう。

恐怖に駆られることなく、感染源に負けない身体にしておくことが大切なのです。たとえ感染して発病したとしても、勝てばいいのです。

 

粘膜の保護を心がけよう


とは言え、予防の第一は感染源に近づかないことです。人混みに行けば多くの感染者と出会いますから、圧倒的なウイルス量に免疫能力が押し切られる可能性があります。

ウイルスは鼻や喉の粘膜から侵入することが多く、粘膜が常に潤っている事がウイルス排除の第一歩です。唾液が少なくても感染しやすいので、鼻呼吸ではなく口呼吸の習慣がある人は粘膜が乾燥気味なので保湿目的のマスク装着は意味があります。脱水状態も良くないので、水分補給は重要です。

ただ、水だけを多量に飲むと血液が薄まるので、それを嫌う身体は腎臓から尿として排泄してしまいます。真夏の熱中症では水分と塩分補給が大切なのですが、実は冬も同じで水分を摂るなら塩分も摂る必要があります(ただ、汗をかく夏ほどは要らないです)。

 

ビタミン・ミネラルで代謝アップ

摂取基準は、それぞれ「おいしい」程度にミネラル補給
免疫細胞は骨髄で作られる白血球の一部ですから、骨髄細胞の新陳代謝が良くなければなりません。今回は代謝のお話をしましょう。「代謝」というと基礎代謝、新陳代謝が有名です。私たちは取り入れた栄養素を代謝することで生きています。

代謝は、体外から取り入れた栄養素を分解し、吸収された栄養素を身体の必要な物質に再合成する事ですが、その分解や合成に関わる基本物質は酵素です。3000以上あると言われる酵素は、各臓器の細胞内自動生産なので、ここでは敢えて触れません。

大切な点は、代謝の反応速度を上げる役割を担っている補酵素のビタミンとミネラルです。これらは100%外部補給なのです。もちろん良質の天然物で、ですよ。代謝力が上がれば上がるほど、補酵素の必要量は上がるので補給量を増やさなければなりません。 

ミネラルという言葉もよく耳にしますが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、マンガン、鉄、銅、セレン、等々の微量元素の総称です。このミネラルの名称はご覧のように金属名ですが、金属の粉を飲んでも身体へは殆ど吸収されません。一度植物に取り込まれてイオン化した状態となってから我々の身体へ取り入れませんと吸収することが出来ないのです。

いわゆる天然塩(非精製塩)のミネラルは、塩化●●や硫酸●●の形になっているので、水に溶けるとイオン化して吸収されやすい状態です。

ミネラル補給の基本は天然塩

玄米菜食で健康に!
このミネラル補給の基本は天然塩であり、味付けの基本となる物です。ミネラル不足は、すなわち代謝不良に直結しますので、減塩は代謝力を上げる事と相反します。腎不全と心不全が無ければ、基本的に減塩の必要はありません。薄味を眉間にしわを寄せて我慢して食べる事は止めて、美味しく頂ける塩味にして食べましょう。

その日、その時、体調によって個人の塩分必要量は違ってきます。味覚を研ぎ澄ませて、身体に必要な量を与える事で良いのです。1日塩分を何グラム以下などという基準を守る必要は無いと私は考えています。

ビタミンとミネラルが豊富な食材は、野菜、果物、種子類、海藻類ですので、玄米菜食は補酵素補給食と言う事になりますので、理に適っていますね。

免疫力アップの秘訣は腸内細菌

腸内細菌を元気に
免疫能力を上げる2つ目の重要な点は、腸内細菌叢を善玉菌にし続ける事でしたね。発酵食品が身体に良いと言われる所以はここにあります。善玉菌の基本は乳酸菌と酵母です。特定の菌を商品化した物もいいですが、様々な菌を取り入れる事をお勧めします。3つ目は自律神経の安定化ですが、この大元もミネラル補給です。ミネラル、大切ですねえ。

 
田中 佳 医師 / ドクターセラピスト
昭和60年に東海大学医学部卒業後、同大学付属病院脳神経外科助手を経て、市中病院で急性期医療に長年携わる。脳神経外科学会および抗加齢医学界の専門医となり、悪性脳腫瘍に関する研究で医学博士を取得。現在は、食や生活習慣、日用品、心の在り方など多岐にわたる方面から健康への道筋を広く発信している。著書、講演、オンライン講座多数。元日本脳神経外科学会認定専門医/日本抗加齢医学会認定専門医/直傳靈氣療法師/整膚師/ISBA(国際シンギングボウル協会)上級認定および認定プレーヤー/ホメオパス(クラシカル)
https://capybara-tanaka.com/