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Dr.岡野寛のEM健康アドバイス 「化学物質に頼らない生活」 ~化学物質過敏症・『香害』について~
近年、私たちの暮らしは、日用品から建築資材に至るまで、大変多くの化学物質が使われるようになりました。今回は「化学物質に頼らない生活」のお話です。

プラスチック製品はもとより、洗剤や柔軟剤、石鹸、歯磨き、消臭剤、衣服などの化学繊維、食品添加物、殺虫剤や除草剤、接着剤やウレタンなどの樹脂製品に至るまで、その多くが石油化学製品です。
これらは、特に戦後、世界中で工業化が進み大量生産されてきました。そして、便利さや手軽さをアピールし、今でも大量消費され続けています。
さらに近年、それらのプラスチックが、自然の生態系だけでなく、徐々に私たちのからだを蝕む「害」になることがわかってきました。今回は、本当の意味での「暮らしの豊かさ」とはなにか、本来あるべき「品」の姿をご一緒に考えてみたいと思います。
これらは、特に戦後、世界中で工業化が進み大量生産されてきました。そして、便利さや手軽さをアピールし、今でも大量消費され続けています。
さらに近年、それらのプラスチックが、自然の生態系だけでなく、徐々に私たちのからだを蝕む「害」になることがわかってきました。今回は、本当の意味での「暮らしの豊かさ」とはなにか、本来あるべき「品」の姿をご一緒に考えてみたいと思います。
マイクロプラスチックと呼ばれる小さな脅威
今回、トピックとしてお話ししたいのは、プラスチックをはじめとする石油化学製品は、有毒になるということです。少量では影響が少なくても、量が増えると自然の生態系を巡り私たちのからだに影響してきます。
特にマイクロプラスチック(5㎜以下の微細なプラスチック)は、紫外線にもろく、細かい粒子状になっても分解されません。細かくなるほど軽く流され、さまざまな生態系に影響を与えます。世界自然保護基金(WWF)の研究では、数百年間分解されることなく自然界にただよい、特に微細なものは回収が難しく、生態系に悪影響を及ぼし続けることとされています。
特にマイクロプラスチック(5㎜以下の微細なプラスチック)は、紫外線にもろく、細かい粒子状になっても分解されません。細かくなるほど軽く流され、さまざまな生態系に影響を与えます。世界自然保護基金(WWF)の研究では、数百年間分解されることなく自然界にただよい、特に微細なものは回収が難しく、生態系に悪影響を及ぼし続けることとされています。
化学物質過敏症・シックハウス症候群・環境ホルモン
これらも、プラスチックによるものです。実は化学合成された多くの物質が、生体ホルモンと似た構造を持つため、ホルモン同様に作用し、生殖機能や甲状腺、脳神経などに影響を与えます。化学物質過敏症は、化学物質にアレルギーを生じる一連の過敏反応で、シックハウス症候群は、主に建築資材に含まれる接着剤などの揮発成分による過敏症になります。
このメカニズムは、微細な粉塵、微粒子レベルのマイクロプラスチックが生体内で反応を起こすことで生じます。また、魚がえさと一緒にマイクロプラスチックを食べ、それを私たちが口にすると、結果的に体内に蓄積され、食物連鎖を通して間接的にも私たちに影響するのです。
このメカニズムは、微細な粉塵、微粒子レベルのマイクロプラスチックが生体内で反応を起こすことで生じます。また、魚がえさと一緒にマイクロプラスチックを食べ、それを私たちが口にすると、結果的に体内に蓄積され、食物連鎖を通して間接的にも私たちに影響するのです。
対策として
当たり前ですが、ごみのポイ捨て禁止や、できるだけプラスチックの使用を控え、資源リサイクルを有効活用することです。そして、なによりも一人ひとりがこの問題に興味をもつことが大切です。
また近年、微生物の働きによって最終的に水と二酸化炭素に分解される生分解性プラスチックが開発され、ごみ問題の解決材料として注目されています。
また近年、微生物の働きによって最終的に水と二酸化炭素に分解される生分解性プラスチックが開発され、ごみ問題の解決材料として注目されています。
香りの害、「香害」
実は今回、このお話をするにあたって最初に思い浮かんだのが「香害」でした。
「香害」とは、近年、柔軟剤や洗剤などに含まれる合成(人工)香料を使用した商品による健康被害のことです。
1980年代後半、柔軟剤や洗剤に合成香料を使い「香りが長持ちする」マイクロカプセルが使用されてから、香りを嗅ぐと、気分不快や頭痛、めまい、全身倦怠、吐き気、思考力低下、咳、鼻や目の粘膜の痛み、かゆみ、呼吸困難など、さまざまな症状が増加しはじめました。
マイクロカプセルは、非常に小さな粒子で、これ自体が化学物質です。主成分はイソシアネートと呼ばれ、吸入すると肺の奥でカプセルが破れ、合成香料が肺胞から直接血管内に侵入し、血清アルブミンやヘモグロビンと結びつき、全身の臓器に行き渡ります。このイソシアネートの抱合体が、鼻腔の嗅覚器や気管支、肺といった呼吸器、さらに腎臓や心臓にも多く蓄積することが分かっています。
「香害」の大きな問題点は、大半は気づかず使用しているうちに、体調不良をきたす場合があることです。また、はじめから「合成香料」によって気分不快や頭痛など、激しい症状を訴える方が一定数おり、学校へ行けなくなったり通勤などの公共交通機関が使えなくなったりと、日常生活に支障をきたします。
いま症状を感じなくても、ある日突然発症する可能性があり、普段から合成香料の使用を控えることが大切です。近年、わが国でも国からの通告で市町村・自治体によっては、香料の強いものを控えるよう呼びかけがはじまっています。
「香害」とは、近年、柔軟剤や洗剤などに含まれる合成(人工)香料を使用した商品による健康被害のことです。
1980年代後半、柔軟剤や洗剤に合成香料を使い「香りが長持ちする」マイクロカプセルが使用されてから、香りを嗅ぐと、気分不快や頭痛、めまい、全身倦怠、吐き気、思考力低下、咳、鼻や目の粘膜の痛み、かゆみ、呼吸困難など、さまざまな症状が増加しはじめました。
マイクロカプセルは、非常に小さな粒子で、これ自体が化学物質です。主成分はイソシアネートと呼ばれ、吸入すると肺の奥でカプセルが破れ、合成香料が肺胞から直接血管内に侵入し、血清アルブミンやヘモグロビンと結びつき、全身の臓器に行き渡ります。このイソシアネートの抱合体が、鼻腔の嗅覚器や気管支、肺といった呼吸器、さらに腎臓や心臓にも多く蓄積することが分かっています。
「香害」の大きな問題点は、大半は気づかず使用しているうちに、体調不良をきたす場合があることです。また、はじめから「合成香料」によって気分不快や頭痛など、激しい症状を訴える方が一定数おり、学校へ行けなくなったり通勤などの公共交通機関が使えなくなったりと、日常生活に支障をきたします。
いま症状を感じなくても、ある日突然発症する可能性があり、普段から合成香料の使用を控えることが大切です。近年、わが国でも国からの通告で市町村・自治体によっては、香料の強いものを控えるよう呼びかけがはじまっています。
「暮らしの豊かさ」と良い「品」
朝露に濡れた草木の香り、夕立の後の土の匂い、沈丁花や金木犀の香りなど、昔はそんな季節の移ろいを感じる日常がありました。しかし、今や街には、洗剤と柔軟剤の匂いが充満しています。
「良い品物」とは、使い勝手の良さだけでなく、私たちの身体や環境に優しい「品」を意識して暮らすことが、本当に「品」のある「暮らしの豊かさ」なのだと思います。
この機会に、生活に必要な「品」をもう一度見直してみてはいかがでしょうか。
「良い品物」とは、使い勝手の良さだけでなく、私たちの身体や環境に優しい「品」を意識して暮らすことが、本当に「品」のある「暮らしの豊かさ」なのだと思います。
この機会に、生活に必要な「品」をもう一度見直してみてはいかがでしょうか。

医師(産業医) 岡野 寛(カン)氏
東京出身。東京慈恵会医科大学にて研修。浜松医科大学心療内科勤務、亀田リハビリテーション病院後期研修、沖縄県中部地区医師会健診センターストレスチェック制度立ち上げに関わる。現EM グループ産業医。「こころから研究所」代表。専門領域:心療内科登録認定医・リハビリテーション認定医・東洋医学・経絡治療(鍼)・日本医師会認定産業医・健康経営アドバイザー。
東京出身。東京慈恵会医科大学にて研修。浜松医科大学心療内科勤務、亀田リハビリテーション病院後期研修、沖縄県中部地区医師会健診センターストレスチェック制度立ち上げに関わる。現EM グループ産業医。「こころから研究所」代表。専門領域:心療内科登録認定医・リハビリテーション認定医・東洋医学・経絡治療(鍼)・日本医師会認定産業医・健康経営アドバイザー。
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