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千曲川の決壊による洪水被害から収穫までの道のり

2019年10月13日に通過した台風19号がもたらした大雨によって、水位の上がった千曲川が決壊。千曲川のすぐ横の低地にあるリンゴ畑が広域にわたって水没した農家さんの取り組みです。

台風19号による千曲川決壊

2019年10月13日に通過した台風19号がもたらした大雨によって、水位の上がった千曲川が決壊。千曲川のすぐ横の低地にあるリンゴ畑が広域にわたって水没しました。今年の収穫・出荷が10月上旬から始まったばかりでした。

道路沿いに立つ岩井園の事務所は床上浸水。天井近くまで水がきました。リンゴ畑は道路沿いの事務所よりも一段低いため、高さ4メートルを超えるリンゴの樹はたわわに実ったリンゴを抱えたまま、頭まで全て水に浸かりました。

出荷が始まったばかりの時期に起こった水害のため、今年出荷できたリンゴは全体の収穫予定量のわずか1〜2割。残り全てが廃棄になりました。泥をかぶったリンゴは加工用にもできなかったからです。

また、岩井さんは自宅も事務所も床上浸水したため、復旧作業は、まず事務所の片付けと清掃作業から始まりました。その間も、リンゴ畑の足元は水に浸かったまま。なかなか水が引かず、完全に水が引いたのは1ヶ月以上経った11月末頃でした。

水が引いた後は、ヘドロの悪臭が徐々に鼻をつくようになってきます。そこで、EM活性液を原液で散布し、ヘドロを洗い流しました。EMの良いところは、こういう災害時に消臭効果を発揮して衛生改善ができることです。

事務所の片付けが一段落したところで、リンゴ畑の復旧作業も本格的に始めました。まず、樹上のリンゴが腐って病気が蔓延しないようにリンゴを全てゆすり落としました。地面に積もったヘドロの上に、悲しいほど沢山のリンゴが落とされました。そこにEM活性液を原液で散布し、被害がひどい区画には、EM炭やボカシも撒きました。面積が広くてまだまだEM散布は十分とは言えませんが、ヘドロ臭は減ってきています。


 

努力の結果、りんごの収穫ができた

夏の暑さも過ぎ去り、過ごしやすい季節になりました。2020年9月下旬から待ちに待った岩井園のりんごの収穫が始まりました! 昨年は収穫シーズンの途中で台風の被害に逢い、収穫まであと少しだった品種は、その味を確かめることもできませんでした。そしてようやく今シーズンの収穫が始まり、滑り出しは順調です。

秋映と紅玉が真っ赤に熟して、木に鈴なりになっています。今年の紅玉は例年に比べて熟す時期が早くなったため、収穫は短期間で終わってしまうようです。

さて、今年の紅玉のお味は?さっそく味わってみました。甘みもしっかりありますが、酸味が効いていて、とてもりんごらしい風味です。EM栽培の特徴と思うのは切っても変色しないところ。
塩水につけなくて、切ってそのまま45分経過してもほとんど変色せず、綺麗な薄黄色をしていました。

岩井園の水害からの復興作業は多くの人たちの協力がありました。岩井さんの兄弟や親戚などが遠方からも集まり、床上浸水した店舗や倉庫など荷物を運び出し、洗浄やゴミの片付けを開始。そして、店舗の復旧がひと段落した後、りんご畑のゴミの片付けや、りんごの木々のメンテナンスに入りました。

りんご畑も長い期間、土壌は水に浸かっていたので、木の根が痛んだり病気になったりしないか、翌年きちんと実をつけてくれるだろうか、と心配しました。少しでもりんごの木が樹勢を回復しやすいようにと、EM活性液を畑全体に散布したり、畑全体がエネルギーを集める空間になるようにEMと合わせて木炭や塩を活用しました。

周囲の農家さんは、昨年の水害の影響で収穫量は例年より落ち込みそうな予想です。しかし、岩井園では例年以上の収穫量になりそう、とのこと。これから後半に出てくる品種がまだまだ生育途中のため、これからも見守っていくそうです。