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地域と観光が育むアロハの心~ゲンキ・アラワイ・プロジェクト~ハワイ州ホノルル市 EMハワイ<前編>

「常夏の楽園」として、大自然や癒しのイメージが多く、海外ウェディングや家族旅行でも人気の高いハワイ。しかし、そんなハワイでも環境問題が深刻化している。

ゲンキ・アラワイ・プロジェクトのアラワイ運河浄化活動

オアフ島ホノルルにあるアラワイ運河は、世界でも有数の観光地であるワイキキビーチを囲うように掘られた人工の運河。湿地帯であったワイキキ一帯の洪水対策として1920年代に造られた運河で、ワイキキビーチ周辺に半円を描くように、海から海へと貫通させる計画だった。しかし、観光の主軸であるワイキキへの環境懸念などで東側の運河の工事は海まで貫通せず、水が滞留する構造になってしまった。子どもたちが泳ぎ、魚釣りをして遊ぶことができたアラワイ運河だったが、急激な観光地化と人口増加により水質汚染が深刻になり、1990年に遊泳禁止となってしまった。特に山側の地域から東側に流れ込む川の水やゴミは、出口がないために汚染が進む一方であった。
この問題を解決するために、非営利団体ハワイ・イグザンプラリー・ステイト基金が設立された。地域住民や商業施設・ホテルなどのアラワイ運河流域に関わるすべての人々で生態系の復元と洪水の軽減に一斉に取り組もうという動きが生まれた。

ゲンキ・アラワイ・プロジェクト(Genki Ala Wai Project)は、その財団の中の一団体として2019年に結成され、アラワイ運河をEMで浄化する役割を担うことになった。当初は親元となる財団がそれぞれの団体の活動を支援する形を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で財団の活動が中断してしまった。

しかし、ゲンキ・アラワイ・プロジェクトメンバーたちは支援がなくても自力で活動をスタート。近隣の小学校や住民と共に始めた活動は、現在200以上の学校や企業、ホテルなどの観光施設やハワイ観光局などの協力を得て大きなうねりを見せている。地域社会と観光客が協力して共に自然を再生する試みと、そこに込められた「アロハの心」を追う。

自然を蘇らせるのがぼくの使命

 
 
EMハワイ 代表 名護宏道さん Hiromichi Nago
ハワイで20年以上にわたりEM活動を推進し、ゲンキ・アラワイ・プロジェクトでは技術を担当。沖縄生まれ・ハワイ育ちの日系3世で、幼い頃から沖縄文化が身近な環境で育つ。20代後半には英語教師として沖縄で働き、自身のルーツと深く向き合う機会を得る。自然農法でEMを使っていた両親の影響と、EM開発者 比嘉照夫氏との出会いをきっかけに、ハワイでの環境再生への道を歩み始めた。
2019年から活動を始めて、5年間で約26万個のEMゲンキボールを投入しました。その結果、川底のヘドロが分解されて悪臭が軽減し、水の透明度も高くなり、ボラ、サヨリ、カモなど多くの生物が戻ってきています。2023年にはマンタ、シュモクザメ、ハワイモンクアザラシも観察されました。
プロジェクトメンバーでも水質調査をしていますが、ハワイ州保健局やホノルル市水質研究所などの第三者機関にも調査を依頼しています。アラワイ運河の水質が改善されているという結果が出ているので、プロジェクトにやりがいを感じています。

20代の時に自分のルーツである沖縄で働く機会を得たので、EM開発者である比嘉先生の講演会に参加し、比嘉先生の著書〈地球を救う大変革〉も読みました。本を読んだ時に「自然を蘇らせることが自分の使命だ」と思いましたね。ハワイに戻るタイミングで、ハワイにもEMの活動拠点ができると㈱EM研究機構から話があり、研究員としてお手伝いさせてもらうことになりました。その後、EMハワイの代表が退職されて私が引き継いだのが約20年前です。

ハワイで最初にEMを取り入れたのはホノルル動物園のカバの池でした。悪臭がなくなり、とても良い効果が出て16年ほど続きました。方針が変わり現在は中断していますが、ホノルル動物園もアラワイ運河同様ワイキキビーチの近くにあり、ゲンキ・アラワイ・プロジェクトが活発になってきているので、また導入について話を進めてみようかと思っているところです。
それと動物関係でいうと、イルカとの触れ合い体験が人気の〈ザ・カハラ・ホテル&リゾート〉のイルカが泳ぐ湖で、EMの導入を試験的に始めています。結果は良好で、今後はスタッフの方々が自分たちでEMゲンキボールが作れるように指導をしていく予定です。

ゲンキ・アラワイ・プロジェクトが本格的に動き始めたタイミングで妻も息子もこの活動を主にしてくれることになりました。EMハワイの立ち上げの時に私は数ヶ月間沖縄でEM技術の研修を受けましたが、同じように息子も数ヶ月間EM事例見学や技術講習で日本のEM仲間たちにお世話になりました。多くの仲間たちに支えられてきたからこそ、20年間活動を続けることができています。
  • ヘドロが1年で1/6に減少!
    2021年7月~2024年5月にかけて、アラワイ運河に堆積したヘドロの深さを計測。EMゲンキボールを投入したことで約60cmもあったヘドロは1年間で1/6に減少し、現在は10cm以下になっている。(ゲンキ・アラワイ・プロジェクト調べ)
アラワイ運河の底に溜まっていたヘドロが減少したことにより戻って来た生き物たち。ウミガメや在来魚のボラ、水鳥などが観測され、2024年にはプロジェクトが始まるまで見ることがなかったハワイモンクアザラシが泳ぐ姿が住民たちによって撮影されている。

マラマ・アイナ  土をむすぶ 未来をひらく

 
 
ドルフィンクエスト・オアフ統括責任者 ジェイド・ホーギアンさん
Jade Haughian General Manager Dolphine Quest Oahu
 
ドルフィンクエスト・オアフアシスタント ライアン・ラゲルシアさん
Ryan Laguercia Assistant Marine Mammal Specialist Dolphin Quest Oahu
ザ・カハラ・ホテル&リゾートでは、イルカと一緒に泳いだりエサをあげたりすることができる〈ドルフィンクエスト〉が人気です。プログラムの担当者として、私たちはイルカたちの健康を最優先にしています。イルカごとに体調を確認し、健康状態に合わせて慎重に食事内容を調整しています。このホテルは海に隣接していて、イルカたちが過ごす湖の水は海から直接引き入れて再び海へと流れていきます。

イルカの健康と海の環境を守るため、湖には化学薬品を使用していません。安全で自然な方法を探す中で、E Mゲンキボールを知りました。試験運用の結果、湖の底に溜まった有機物が減少し、イルカたちの健康にも悪影響は見られませんでした。イルカのためにも、イルカとの触れ合いを楽しみにしてくださっているお客様のためにも、海のためにも、EMを継続的に活用していく予定です。

EMゲンキボールはユニバーサル・デザイン

 
 
名護 千賀子さん Chikako Nago
沖縄生まれ・沖縄育ち。英語教師やラジオパーソナリティ、航空会社勤務など、多彩なキャリアを持つ。数年前に航空会社を退職し、夫である宏道さんと共にEMハワイおよびゲンキ・アラワイ・プロジェクトの運営に携わるように。豊かな経験と温かな人柄で、ハワイと沖縄をつなぐ活動を支えている。
名護 洸利さん Kouri Nago Social Media Coordinator
ゲンキ・アラワイ・プロジェクトのSNS担当であり、宏道さん、千賀子さんの息子の洸利さん。現在は、企業などからの新規の依頼を受けてプロジェクトを広めている。前職はザ・リッツ・カールトン・レジデンス・ワイキキビーチに勤務していたことにより、ホテルとプロジェクトの架け橋となって協力体制を築いた。取材をした場所には洸利さんの小学生時代の先生も参加され、時を経て「ハワイの環境を取り戻す」という同じ思いを持った仲間として、新たな交流が生まれていた。
日本では〈EM団子〉と呼ばれていますが、ハワイでは〈EMゲンキボール〉と呼んでいます。ハワイで浄化活動を始めるにあたって、日本で最も交流を深めさせてもらったのが大阪市漁業協同組合の皆さんでした。大阪市漁協さんは道頓堀川の浄化活動の際に〈元気玉〉と呼んでいたので、彼らへの敬意とハワイでの普及を考え、私たちは〈EMゲンキボール〉という名前で呼ぶことにしました。EMゲンキボール講習会をする時には大阪市漁協さんたちの取り組みを紹介しています。

ハワイでは日系の方が多いので、「団子」と呼ぶと食べる団子を想像してしまいます。また、ハワイの公園や幼稚園には日本のような砂場がなく、いわゆる泥遊びを経験したことがない子どもがほとんどです。日系とはいえ、ハワイ生まれハワイ育ちであれば日本語を話せない人も多いし、土団子や泥団子と言ってもピンとくる人は少ないと思います。「ボール」という表現を使えば「投げるもの」というイメージができますよね。

新型コロナウイルスの影響を受けつつも細々と活動をし始めたのが2020年、本格的に取り組めるようになったのが2022年です。そのタイミングで私も本腰を入れて活動に関わるようになり、この数年間で〈EMゲンキボール〉の名前はほとんどの方が知っているものになりました。ハワイの地元のTVや新聞でもたくさん取り上げてもらっています。お陰様で小学校や教会、お寺、老人ホーム、地元のカヌーグループなど様々な施設や団体から依頼を受けています。

私はご高齢の方と一緒にEMゲンキボール作りをすることが多いですが、土をふるう人、米ぬかを入れる人、EMを注ぐ人に分かれ、全部混ぜたらみんなでおしゃべりをしながら丸くテニスボールほどの大きさに握っていきます。足が弱ければ椅子に座りながらできるし、年齢も性別も関係なく難しい知識も必要なく、言葉が通じなくても一緒に同じ作業を通じてその場を分かち合える作業です。

年齢や性別、文化の違い、障がいの有無によらず、誰にとってもわかりやすく使いやすい設計でつくられた建築や製品、情報やサービスのことをユニバーサル・デザインと言いますが、まさにEMゲンキボールはユニバーサル・デザインな環境保全活動だと言えますね。
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