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自然農法の普及を支える「EM土壌改良資材」

EMWEM・1などのEM土壌改良資材の製造を行っている株式会社EM研究所は、自然農法の普及には、EM(通称:EM菌)の微生物農業資材の利用が欠かせないという考えから、平成三年に財団法人自然農法国際研究開発センターの事業部門として設立しました。

EM研究所 製造工場内

EM研究所の成り立ち

自然農法を実践するには、土の環境を整え、植物が本来持っている自然の力を最大限に引き出す必要があり、EMの製造に取り組み始めました。EMの製造にはきれいな水が欠かせないということで、自然豊かな山間に工場を建設し、地下水を汲み上げ、ろ過した水を使っています。
 
EM・1の製造を開始した当初は、自然環境下に散布すると変性しやすいものしかできず、試行錯誤を繰り返したそうです。微生物が増えやすい様に原材料を工夫していましたが、EMの開発者の比嘉照夫教授のご指導により、現在のEM・1の形になりました。ポイントは培養温度で、微生物にとって最適温度で培養すると品質の安定したものができました。EM活性液を作る際にも同様です。

EMW(イーエムダブリュ)の開発秘話

EM・1が完成し、自然農法の普及を進めていく中で、家庭から出る生ごみを土に還す「生ごみリサイクル運動」や河川の汚染源である米のとぎ汁を浄化源に変え、家庭から河川浄化を進める活動など、農業だけではなく環境浄化への利用が進んでいきました。平成十一年に「自然農法の普及拡大」「環境浄化の推進」「社会福祉への貢献」を設立理念として、EM研究所は独立しました。

EMの利用範囲が畑などの外から家庭に広がる中で、糖蜜の色が付かないEMの需要が高まり、EMWの開発を開始しました。EMWの「W」はホワイトの頭文字です。有機栽培みかんの農家さんとご縁があり、みかんの残渣を使用してEMの培養実験を開始しましたが、最初は上手くいかなかったそうです。

糖分の割合や食物繊維の量、ミネラルの含有量などが糖蜜と異なるため、原材料や温度など一からの開発となりました。糖蜜との差を埋める原材料の選定や温度条件を試行錯誤して、平成十二年にEMWが完成しました。EMWの発売により、安定した品質のEMを家庭内で使用できる様になり、掃除や消臭での利用が一気に増えました。

 

日々進化するEM資材

現在は、微生物農業資材の製造・販売だけではなく、情報発信にも力を入れています。対面での講習会だけではなく、YouTubeなどでEMの使い方の公開を行っています。以前は有料で販売していた栽培編・畜産編のマニュアルをWEBサイトで無料公開しています。

一方で、新商品の開発や一旦完成した製品に関しても、より高品質な製品を安定供給できる様に研究開発を続けています。例えば、生ごみ発酵肥料は集合住宅では実践が困難であることから、牛糞や豚糞の堆肥化のノウハウを活用し、家庭から出る生ごみの「堆肥化」の研究を行っています。堆肥にすることで、軽量化やにおい対策、保存期間の問題が解決できるため、自社農園で試行錯誤を続けています。コーヒーかすや茶殻を堆肥化して活用し、収穫した野菜を社員で試食しています。

また、慣行農法からEM農法へ移行される農家の方が増加しており、EMの活用指導の機会や要望も増えています。その中で、収量や品質に関して効果を実感される方が増えているそうです。以前の慣行農法と比較し農薬・化学肥料にできるだけ頼らない栽培をしている農家の方が増えているという背景があるのかもしれません。それらの実績を踏まえて、EM農法に移行されてすぐに効果を実感できるような商品開発・ラインナップの充実に努めています。

自然農法の普及について

農業指導の様子 中心がEM研究所社員
自然農法は自然の中の生物多様性を豊かにし、自然の力を最大限に発揮させる農法です。生物多様性が豊かであれば、多少の農薬や天災などの影響は緩衝されます。ところが残念なことに、EMだけを数回散布しても菌の定着、微生物叢の形成はされません。土着菌の種類や数、土の栄養状態に左右されるのが現状です。

今後、土の中の生物多様性を飛躍的に増やすEMのペアとなる菌や成分を見つけたいと考えています。それにより、自然農法の普及が進み、環境浄化・環境保全にも役立ちます。
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